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ることを進めています。今まで利用のみだった人にも新しいプログラムを見つけてあげてその人の残存機能を発掘してあげるのもタイムダラーの仕事です。

 

●マイアミ「タイムダラー」のできるまで

 

私たちがこういう話をすると、とても「できないわ」とお思いになるかもしれませんので、マイアミがどういう過程を踏んで、このタイムダラーを作ったかお話したいと思います。最初にこのアイディアを地域の人たちに少しでも多く知ってもらおうと病院、保健所、市長団体のいろいろなボランティアをしている人達、特別養護老人ホーム、自治体等いろいろなグループを回りました。最初から大きなグループを作る必要はありません。小さいグループ+小さいグループ+、とたくさん集まることによって大きなグループになるわけですから、最初は会員は少なくて良いと思います。
次にすることは、目的をはっきりさせ、会員になったボランティアの方達に活動家になっていただくためのメニュー作りです。ボランティアのいろいろなメニューを作らないといけないのですが、その時にまず私たちがするのは市場調査です。この地域ではどのようなボランティアを必要としているのか、どのような助けが必要なのか、その助けを必要としているのはお年寄りなのか、若い人達なのか、それともどちらにも適用できるサービスが提供できるのか、そのようなことをまず協議会の中で話し合うことが大切です。次に必要なことは目的をはっきりさせ、ボランティアがもたらす地域への効果をはっきりさせることだと思います。なぜならば2番目に必要なことの中には、自分たちがこのボランティア活動を活性化して進めていくためには、どのくらいの基金が必要であるか、どのようにしてこの基金を集めればよいか、ということが必要になってくるからです。例えば企業に話に行く時も、ボランティアによって地域にもたらされる効果、目的がはっきりしない場合は企業も寄付はしてくれません。
3番目に必要なことは助成金を申請することです。この助成金を申請する時に必ず書くことは「3年間の費用はいただきたい」ということです。3年間ないと地域での成果は分かりません。その時に地域にもたらされる効果、どういうことをするか、ということをはっきり書きます。また3年後にこの地域はこのように変わるであろう、このようなメリットがあるであろうという未来への評価もはっきり書きます。この3年後にもたらされる効果は支援グループを探す場合に必要です。行政、地域の企業等にお願いに行くときに「私達は良いことをするのです。」だけでは支援をしてもらえません。
タイムダラーのような団体をNPO(非営利団体)と呼びますが、このNPOを組織していく中で、1番大切なことはNPOの経営方法です。ボランティアで無償なのになぜ経営方法が必要なのか驚かれると思うのですが、NPOであっても普通の企業と同じようにきっちりした経営指針がないといけません。この場合企業と違う所は利益は全て会員、地域に還元するということです。
ボランティア活動をすることは行政の仕事を取り上げることで、ボランティアが活性化するということは、行政が市民のために何もしてくれなくなるのではないのか、と他のボランティアの人から聞かれることがあります。行政というのは私たちの税金を活用していろいろな業務をしていくわけですから、この部分は決して変わらないと思います。皆さん

 

 

 

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